あなたに会えたあの日から

生まれる前のやくそくが、今、現実になる

浦嶋伝説

今週のお題「海」


おはようございます。nicosaです。



今日は、

日本海の方に、
シーカヤックへ行ったときに、
立ち寄った神社で見つけた、

浦嶋伝説のお話をします。





その地域に伝わる浦嶋伝説は、
よく知られている浦島太郎のお話と、
少し違います。





よく知られているものは、



亀を助けたお礼にと、
太郎が龍宮城へ行き、
乙姫と会い…


という話です。






この地域に伝わるお話は、
少し違うようです。





水乃江乃浦嶋子(みずのえのうらしまこ 嶋子)という、
容姿端麗な男が、


海へと漕ぎ出し、
舟で釣りを楽しんでいました。

三日間も何も釣れず、
竿を上げようしたところ、
釣り竿に亀が引っかかり、


嶋子が釣り上げたのは、
五色の大きな亀でした。



亀を釣り上げたあと、



嶋子が、
舟の上で、
うとうと居眠りをしている間に、
いつのまにか、
亀は美しい乙女になり、


嶋子は、
その乙女と一緒に、
常世の国へ行くのです。



四七八年の、
七月七日のことでした。




たどり着いた常世の国には、
見たこともないほど美しい、
宮殿がありました。



ぼくは夢を見ているのかと、
嶋子は乙女に尋ねます。



乙女は、



ここは常世の国です。

あなたと私が一緒に暮らすところです。



と、
嶋子に伝えます。




常世の国で出会った、
何人もの子どもたちに、

自分は、
亀姫の夫になるのだと、
知らされます。



美しい乙女は、
亀姫(神女 おとひめ)だと、
嶋子は知ります。



おとひめの両親の許しが出て、


そして、
嶋子とおとひめは、
夫婦となり、
三年という月日を、
常世の国で、
楽しく過ごします。




しかし、


嶋子には故郷への想いがあることを、
おとひめは知ります。




おとひめは、

嶋子に、

自分の魂の半分が入った、
玉手箱を渡し、



「もう一度会うことを約束してくださるなら、
この玉手箱は絶対に開けないでください。」



と、

自分にとって一番大切な、
自分の魂の、
その半分を、
嶋子に預けます。




八二五年の、
七月二十二日、


舟に乗り、
故郷へ帰った嶋子は、

自分が故郷を出てから、
三百年もの月日が流れていたことを、
知ります。



十日ほど、
故郷で過ごしますが、


日に日におとひめへの想いがつのり、
嶋子は、
おとひめとの約束を忘れて、
玉手箱の蓋を開けてしまいます。



紫の煙と、
蘭の花の香りが、
玉手箱から立ち登り、
その煙と香りを追う内に、
嶋子は白髪のお爺さんになり、


亡くなりました。





…それが、
その地域に伝わる、
浦嶋伝説なのだそうです。



九二〇年に制作され、

一二九四年に、
浦嶋子口伝記として、
丹後国の福田村にある道場で、
書写した本が、
底本となり、


語り継がれたということです。



書写本は、
現存しています。









今年、
2019年の初夏、



京都府伊根町の、
祭神を浦嶋子とする浦嶋神社で、
神社の方からお聞きした、
お話です。








nicosa